街を歩くと、様々な看板や広告が目に入りますよね。不動産会社の物件案内看板や、飲食店の店名表示、大型商業施設の案内板など、これらは私たちの生活に欠かせない情報源です。しかし、もしこれらの広告が何のルールもなく自由に設置されたら、どうなるでしょうか。きっと街は雑然とし、景観が損なわれ、時には危険すら伴うでしょう。
そこで登場するのが、今回ご紹介する「屋外広告物法」*す。この法律は、街の美しさを保ち、安全を確保するために、屋外広告物の設置を規制する重要な法律です。
今回は、屋外広告物法の基本的な目的と、その規制内容、そして不動産に関わる私たちが知っておくべきポイントを解説していきます。

屋外広告物法とは?
屋外広告物法(屋外広告物条例)とは、「良好な景観の形成」「風致の維持」「公衆への危害防止」を目的として、屋外広告物(看板、貼り紙、広告塔など)の表示や設置を規制する法律を指す不動産用語・建築行政用語です。
国が定める「屋外広告物法」と、それを受けて各地方自治体(都道府県や市町村)が定める「屋外広告物条例」があり、それぞれの地域の実情に合わせて詳細なルールが定められています。
不動産取引においても、広告看板の設置や、物件自体の外観デザインにも関わるため、非常に重要な法律です。
屋外広告物法の主な規制内容
屋外広告物法は、無秩序な広告物の設置を防ぎ、街の安全と美観を守ります。
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1. 許可制と届出制: 屋外広告物を表示・設置する際には、原則として自治体の許可が必要となります。許可の申請時には、広告物の種類、大きさ、設置場所、期間などを届け出る必要があります。許可なしの設置は違反となり、罰則の対象となることがあります。
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2. 表示の制限: 表示内容(公序良俗に反するもの、危険なものなど)や表示方法(点滅の激しいもの、過度に大きいものなど)に制限があります。特に、周辺の景観や自然環境に配慮したデザインが求められる地域もあります。
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3. 禁止区域・禁止物件: 歴史的建造物周辺、風致地区、幹線道路沿い、高層ビル屋上など、広告物の設置が原則として禁止される区域や、神社仏閣、病院、学校などの特定の物件には、広告物の設置が厳しく制限されます。
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4. 管理義務と安全確保: 設置された広告物には、管理者の義務が生じます。老朽化による落下や倒壊を防ぐため、定期的な点検や補修が求められ、公衆への危害防止が徹底されます。
不動産と屋外広告物法
不動産に関わる私たちは、屋外広告物法をどのように理解し、活用すべきでしょうか。
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1. 不動産広告のルール: 物件の現地看板、分譲地の案内板、モデルハウスの表示など、不動産に関わる様々な屋外広告物が規制の対象となります。適切な許可を得て、ルールに沿った広告表示を行うことが求められます。
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2. 街づくりと景観への配慮: 物件の外観や、テナントビルの看板計画など、街全体の景観に配慮したデザインが求められます。特に景観条例が厳しい地域では、個々の建物の広告計画も詳細にチェックされることがあります。
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3. 違反時のリスク: 許可なしの設置や、規定違反があった場合、除却命令や罰金の対象となります。不動産取引のトラブルにも繋がりかねないため、注意が必要です。
屋外広告物法は、私たちの住む街が、美しく、安全であるために存在する、重要な法律です。

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