家具付きのモデルルームや、高級なリビングルームのインテリア写真を見ていると、ソファの前に置かれた、背もたれのない小さな椅子や台のようなものを見かけることがあります。これが、今回ご紹介する「オットマン」です。
「オットマン」と聞くとピンとこないかもしれませんが、これはリビングの快適性を劇的に向上させる、小さな相棒のような存在です。単に足を乗せるためだけでなく、不動産の空間利用やインテリアデザインにも深く関わっています。
今回は、このオットマンの基本的な特徴と、それが暮らしにもたらすメリット、そして物件選びで知っておきたい家具の配置のヒントを解説していきます。

オットマンとは?
オットマンとは、ソファや椅子とセットで使われる、背もたれや肘掛けのない一人掛けのクッション付きの椅子、または足置き台を指す不動産用語・インテリア用語です。
そのルーツはオスマン帝国(トルコ)にあるとされ、ヨーロッパに広がり、日本でも高級ソファの付属品として普及しました。
オットマンは、足を乗せてリラックスするための「フットスツール」として使うのが主な役割ですが、近年ではその多機能性から、不動産の賃貸や売買の際に、空間を広く見せるインテリア術としても注目されています。
オットマンがもたらすメリット
オットマンは、その小さなサイズからは想像できないほど、リビングに大きな快適性をもたらします。
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1. 究極のリラックス効果: 足を心臓より高い位置に持ち上げてリラックスできるため、血流を促進し、疲労回復を助ける効果があります。ソファと組み合わせることで、足を伸ばせるカウチソファのような快適さを得られます。
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2. 空間の多機能化: ただの足置きだけでなく、補助椅子(スツール)として来客時に使ったり、トレイを置いて簡易テーブルとして使ったりと、様々な用途で活用できます。
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3. 空間の柔軟性: カウチソファと違って単体で動かせるため、来客時や模様替えの際に配置を柔軟に変更できるのが大きなメリットです。
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4. 収納機能の追加: 内部が空洞になっており、ブランケットや雑誌などを収納できる収納ボックスの機能を兼ね備えたタイプも多く、収納スペースが限られたマンションなどでは特に重宝されます。
オットマンを導入する際の注意点
オットマンは便利ですが、物件の間取りによっては注意が必要です。
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1. 圧迫感と動線: リビングの広さに対してオットマンが大きすぎたり、配置が悪かったりすると、部屋に圧迫感を与えたり、生活動線を遮って歩きにくくなったりする可能性があります。
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2. サイズと高さの適合性: メインのソファに対して、オットマンの高さや硬さ、デザインが合っていないと、リラックス効果が半減したり、見た目のバランスが悪くなったりします。
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3. リラックス空間の専有: オットマンを使うと、その分、足元から先の空間(床面積)がリラックススペースとして専有されます。賃貸物件などで元のリビングが狭い場合、家具の配置が難しくなることがあります。
物件選びとインテリアのヒント
不動産を購入・賃貸する際、オットマンの存在はリビングの広さを測る一つのヒントになります。
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必要な動線の確保: モデルルームなどでオットマンが置かれている場合、オットマンを置いても、ソファとテレビ台の間をスムーズに歩けるか(最低60cm程度の幅が取れるか)を確認しましょう。
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家具の持ち込みを想定: オットマンを含む大型家具を部屋に持ち込む際は、事前に間取り図に家具のサイズを書き込んでみて、生活空間が十分に確保できるかをシミュレーションすることをおすすめします。
オットマンは、あなたの住まいをより快適で、多目的な空間に変えてくれる魔法のアイテムです。

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