住宅の建築現場や、既存の戸建て住宅を見たとき、「2階部分が1階部分よりも外側に突き出している」建物に気づいたことはありませんか? これが、今回ご紹介する建築用語のオーバーハングです。
限られた敷地を最大限に活用し、住まいの快適性を高めるために使われる、このオーバーハング。今回は、その仕組みと、物件選びで知っておきたいメリット・注意点を解説していきます!

オーバーハングとは?
オーバーハング(Overhang)とは、建物の上階部分が下階部分の外壁面より突き出して建築されている構造を指す不動産用語・建築用語です。
「張り出し構造」とも呼ばれ、特に日本の都市部など、敷地面積が限られている住宅でよく採用されます。最も一般的なのは、2階部分を1階部分よりも外側に大きく張り出すケースです。
オーバーハングが住まいにもたらすメリット
オーバーハングは、単にデザインのためだけでなく、実用的なメリットを多く生み出します。
- 1. 居住空間の拡大: これが最大のメリットです。1階の外壁から突き出すことで、2階の床面積を増やすことができ、特に狭小地や変形地において、より広い居室や収納スペースを確保できます。
- 2. 駐車スペースの確保: 1階部分を駐車場(カーポート)とし、その上部をオーバーハング構造にすることで、雨ざらしにならない駐車スペースを確保できます。都市部の土地活用において非常に有効な手段です。
- 3. 雨や日差し対策: 1階の窓や玄関の上にオーバーハング構造が来ることで、ひさし(庇)のような役割を果たします。これにより、直射日光や雨の吹き込みを防ぎ、外壁の劣化防止にも役立ちます。
家選びでチェックしたいポイント
オーバーハング構造を持つ物件を検討する際は、以下の点をチェックしておきましょう。
- 構造上の安定性: オーバーハング部分には、柱がない分、強度を高めるためのしっかりとした構造補強が必要です。建築基準法に適合していることはもちろんですが、安心できる建築工法が採用されているかを確認しましょう。
- 断熱・防水対策: 張り出し部分の床下は外気にさらされやすいため、その部分の断熱材や防水処理が適切に行われているかが重要です。断熱が不十分だと、冬場に床が冷えやすくなる可能性があります。
- 建築規制との関係: 敷地境界線からの距離や、建ぺい率・容積率の算定において、オーバーハング部分がどのように扱われるかは、自治体の条例によって異なる場合があります。将来のリフォームを考える上でも、規制内容を確認しておきましょう。
オーバーハングは、敷地の制約を逆手に取り、快適性と機能性を高める賢い選択です。

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