地震などの大規模災害が発生した直後、自分の家が被災したら「この家に住み続けても大丈夫なの?」と不安になりますよね。そんな時、私たちの命と安全を守るために行われるのが、今回ご紹介する「応急危険度判定」です。
これは、専門家が被災した建物の被害状況をいち早くチェックし、その後の行動を促すための重要な調査です。
今回は、この応急危険度判定の基本的な仕組みと、その目的、そして私たちが知っておくべきポイントを解説していきます。

応急危険度判定とは?
応急危険度判定とは、地震などの大規模災害によって被災した建物について、その後の余震などで倒壊・落下等の危険性があるかどうかを、専門家(建築士等)が緊急的に判定することを指す不動産用語・建築行政用語です。
この判定は、二次災害による人的被害を防止することを最大の目的とし、住民が安全に生活できるか、あるいは立ち入ってはいけないかを、「緑・黄・赤」の三色のステッカー(判定票)で表示します。
これは「罹災証明書」のための被害認定とは異なり、あくまで災害直後の「緊急的かつ二次災害防止」に特化したものです。
応急危険度判定の目的とステッカーの意味
応急危険度判定は、被災者の安全確保と混乱防止に大きく貢献します。
-
目的1. 住民の安全確保: 余震などによる建物の倒壊や、外壁・屋根などの落下を防ぐため、危険な建物から住民を遠ざけることを目的とします。
-
目的2. 混乱の防止と避難誘導: どの建物が安全で、どの建物が危険かを一目で示すことで、混乱を避け、住民が冷静に避難したり、安全な場所で生活を送ったりするための指針を提供します。
ステッカー(判定票)の意味
-
1. 緑色(調査済・使用可能): 「この建物は立ち入りを制限するほどの危険性はありません」という表示です。当面の居住は可能と考えられますが、詳細な点検や補修が必要な場合もあります。
-
2. 黄色(要注意・一部使用制限): 「この建物には一部に危険な箇所があり、注意が必要です」という表示です。全体的に危険性が高いわけではないものの、特定の箇所(ベランダ、出入り口など)への立ち入りを制限したり、補修が必要であることを示唆します。
-
3. 赤色(危険・使用不可): 「この建物は危険です。立ち入ってはいけません」という表示です。倒壊の危険性や、外壁の落下など、甚大な被害が確認され、使用が非常に危険な状態であることを示します。
私たちが知っておくべきポイント
災害はいつ起こるかわかりません。応急危険度判定について知っておくことは、万が一の際に冷静な行動につながります。
-
判定は任意、しかし重要: 自治体からの要請を受けて行われるため、必ずしもすべての建物で判定が行われるわけではありませんが、要請があれば速やかに応じましょう。判定は命を守るためのものです。
-
「罹災証明書」との違い: 応急危険度判定は、あくまで「二次災害防止のための緊急判定」です。住宅の被害の程度を公的に証明し、支援策の申請に必要となる「罹災証明書」のための被害認定とは目的が異なります。罹災証明書は、別途申請が必要です。
-
専門家への相談: 緑色のステッカーが貼られても、必ずしも完全に安全というわけではありません。居住を続ける場合は、建築士などの専門家に改めて詳細な調査を依頼することをおすすめします。
応急危険度判定は、災害時に私たち自身や家族、隣人の命を守るための、非常に重要な仕組みです。

コメント